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って、その財団のお手伝いもしているというのが現状でございます。
そんなことでございまして、オーケストラの経営をずっと長年にわたり実地にやってきたわけなんですが、オーケストラの経営といいますのは全くアートと表裏一体のものでして、つまり我々は芸術団体のマメージメントは完全にアートのインサイドのものだと思ってきました。表裏一体、もちろん裏の方でして、マネージメントというのはアートに欠かせない要素で、つまりその裏方をやっているんだということで、すべての目的は芸術をよりよくやるため、オーケストラの場合ですと、よりよい演奏をする場をつくり、そういった環境の整備をしていくということ、発表するものをできるだけ効果的にあらわせるようないろいろな準備、工夫をするということ、それから、お客さんをたくさん集めるということはもちろんですね。
それらに伴った資金の準備をするというようなことも、完全にアートと一体のものでして、アーチストは、もちろんマネージメントがあって成り立つということを良く知っています。マネージャーの方も、もともとは音楽の専門家で、裏方としてやってきていたわけですので、マネージメントということを切り離してこういうところへ出てきて裏方がお話をするなんていうことは、昔は考えてもいなかったですね。
ところが、この四、五年ですか、いわゆるアートマネージメントという言葉がにわかに使われはじめ、これが流行語のようにあちこちで叫ばれるようになりました。これは一つには皆様方のような公文協の、つまり地方公共団体がたくさん文化施設をおつくりになって、それを運営していく担当者の方々の必要性から起きてきたということがございます。
もう1つは、これも全く新しい言葉ですが、89年でしたからもう6年ぐらいたっんですが、メセナ協議会というのができまして、大企業の中に文化支援をするメセナ担当者なんていうのが出てきて、この人たちも、アートマネージメントの知識が必要だということから盛んにこの言葉が使われるようになりました。
もう1つの流れとしては、これは経済学をやっていらっしゃる大学の先生方なんですけれども、これも非常に新しい学問としてアメリカで盛んになってきたんですが、文化経済学という学問がありまして、それの学会を日本でつくられたのです。文化と経済は、昔の我々の時代では全く相反する存在でした。つまり、経済というのは数量で物はをはかるもので、芸術というのは数量ではかれないから芸術だというふうに思っていた、これを1つにしてしまおうというのですから大変なことだと思うんですが、それは、芸術にかかわる現象をグローバルにとらえ、芸術産業を経営学的に研究するということのようです。この

 

 

 

 

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